メイン

2006年09月05日

フッ素イオン導入とフッ素塗布ではどちらが効果があるのですか?

電気を通さない方が効果があります。
原理原則的にもそうですし、実際例からも確認されています。

原理原則的には、電気は流れやすいところを流れるということです。エナメル質、象
牙質、歯髄を通って一方の電極まで、あるいは濡れた歯肉を経由して一方の電極まで
流れる。どちらが流れやすいかということです。通電しなければ歯面に流れる電気を
無理矢理歯肉の方に流していることにもなります。

また、実際に通電と、電気を通さないフッ化物塗布と、ポジティブ・コントロールと
しての食塩塗布の3つを某小学校の1年から4年まで盲検的に追跡実施して、食塩塗布
群のう蝕罹患状況と比較して有意に低かったのは通電しないフッ化物塗布群でした。
通電タイプはう蝕状況が若干低かったのですが有意ではありませんでした(下記文献)。

装置を持っておられるのであれば、電気を通さないで使った方がよいでしょう。ある
いは、ゲルタイプに切り替えるのもいいでしょう。

木次英五、他:集団用フッ素イオン導入装置(フロリアート)によるう蝕予防効果.新
潟歯学会雑誌,7:42-48,1977.

2006年07月11日

フッ素洗口の濃度

<質 問>
小学校にてフッ素洗口を導入する計画にありますが,週1回法で450ppmでも効果はあがるものでしょうか?900ppmまであげないとダメでしょうか?

<回 答>
フッ化物洗口は、修学前は225ppmあるいは250ppmで週5回~毎日、小中学生では900ppm週1回法が一般的であり、4歳から中学3年生までの実施で40~80%のう蝕予防効果が報告されています。

450ppmF週1回法の報告は1件しか見あたりませんでした。ここでは、効果はう蝕経験者率で見ると30%前後、一人経験う歯数で見ると50%前後と報告されています。

ただし1件だけの報告であり、どこでやっても同じ効果が出るでしょうとは言い切れません。またここでのフッ化物洗口は小学生だけであり、修学前は未実施状態です。もし保育園、幼稚園でフッ化物洗口を実施しているか、あるいは実施することになれば、もっともむし歯になりやすい6歳臼歯が予防されますから、これ以上の予防効果の出る可能性もあります。

おそらく、商品としてのフッ化物洗口剤が250ppm, 450ppmしかないことからの質問と思います。900ppm週1回の商品が早く出るといいのですが・・・。

2006年07月10日

6才未満へのフッ素塗布

<質 問>
診療室でフッ素塗布を行なう場合、6才未満ぐらいの低年齢児に高濃度のフッ素を塗布するのはいけないと聞いたのですがどうでしょうか。

<回 答>

大丈夫です。

診療室でのフッ化物歯面塗布は、指示された方法に従えば、1歳前後の歯が生えた頃から始めて結構です。6歳未満という制約はありません。「6歳未満」はWHOの文書にちょっとでているのですが、特殊な条件下のことを根拠にしているので、現在日本で行われている一般的なフッ化物洗口には当てはまりません。このことについては、日本口腔衛生学会の見解が出されています。

※リンクは山本武夫先生のHPへ飛びます

2006年07月09日

海外でのフッ素洗口

<質 問>
患者さんで海外に行く人がいるのですが、その地では、水道水が硬水なので飲料水には適していないようです。持って行った方がいいでしょうか?


<回 答>
海外にどれくらいの期間行くのでしょう。

1カ月程度であれば、F洗口を休んでも構いません。学校での実施の場合は夏休みなどは中断となりますが、それでも効果を発揮しています。
それ以上の場合は、現地の歯科医さんに相談した方がよいでしょう。行くところによりますが、米国、オーストラリ
ア、東南アジアの幾つかの国では、広い範囲でフロリデーションが実施されています。
また、国によっては歯科医、小児科医で、フッ化物錠剤が処方されています。歯科医に相談することでフッ化物洗口も実施できる国は多いでしょう。
最低限、フッ化物配合歯磨剤を使うようにしましょう。これはどこでも手に入ります。

フッ素洗口液を持っていく場合はこちらを参照ください。

2006年07月08日

フッ素の保管について(洗口液の保存場所)

<質 問>
フッ素洗口液は冷蔵庫保存が必ず必要ですか?

<回 答>フッ素洗口をしている方向け
冷蔵庫保存は必ずということはありませんが、一応薬品なので常識的に考えて冷暗所に保管というほうが望ましいというだけです。一般的に、夏場は冷暗所保管がいいでしょう。ただし、飲料の類と間違って飲まれないようにして下さい。

2006年07月07日

フッ素の保管について(洗口液の保存期間)

<質 問>
フッ素洗口液は作ってからどの位おいてもよいものでしょうか。

<回 答>園医のDr向け

 最近の保健所の指導では1週間といっているところもあるようですが、フッ化ナトリウムをを溶かした洗口液は基本的に変化、変質はしません。ミラノールはNaF以外に発泡剤や人工甘味料などが含まれているためにかえってカビが湧いたりしやすいようです。

 溶かす水には注意が必要です。一般的には水道水(消毒されている)を使えば問題ありません。水道水は消毒されているからです。2週間でも1カ月でも大丈夫です。正式に発表したわけではないのですが、我々が実施した実験では1年後も細菌の増殖は見られませんでした。

 市販のボトル水(ミネラル水)や井戸水は消毒の保障がないので、使わない方がよいでしょう。場合によっては、ポリタンクの底にカビが生えたりすることがあります。ミネラル水については、caが多いとCaF2として沈殿の可能性も考えられますが、よくわかりません。

 しかし園で使用する際にはそのことよりも管理上の問題を考えていないといけません。もったいないからつぎ足したとかいうようなことがおらないようにするには、きりのいい所で残ったものは捨ててもらった方が良いと思います。