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2007年04月12日

RT3・「明日からできる診療室での予防歯科」会議

1.背景
 25周年記念本「明日からできる予防歯科」を発刊してほぼ10年が経過した。時代の変化と共に内容を見直す必要が出てきた。そこで35周年事業の一環として「明日からできる予防歯科」の大幅な改訂を行うことになった。

2.本のおおまかなコンセプト
・ 目的は予防歯科について悩んでいる人に、理念と能力を身につけてもらうこと
・ ターゲットとなる読者層はすでに予防歯科を診療に取り入れてはいるが何となくすっきりしない歯科医師、歯科衛生士
・ 歯科医療の理念(・健康 ・HEALTH PROMOTION ・WELL-BEING )を提示する 
・ 教育装置としての機能:完成品を提示するのではなく作り方を提示する(OPPAモデル)
・ 「みんなで作る」も今回の本のコンセプト
・ 模倣からより応用力やオリジナルなヘルス・プロモートが思いつくような本をめざす
・ 何度も読み返す、また読み返せる本をめざす


RT5・臨床予防歯科のイベント企画会議

日本の臨床予防歯科を担っている会派が、今回の企画会議をきっかけに、もっと情報交換を行い交流し理解する中で、互いの理念や活動目標の中に共感や共有できる部分を見出し、協働する道筋を見つけ出そうとの想いから企画されました。協働の道を見出し、日本の臨床予防歯科を支援して行ける事柄がある事は、藤木・譲治両先生の談笑から十分予測できる雰囲気の中で始まりました。

 最初にテーブルを囲む18名の参加者の学生時代所属していたクラブ活動を披露する自己紹介で始まりました。譲治先生は中学・高校・大学と山岳部一筋という事でした。続いて、KWC、日ヘル、WBの順番に、それぞれの研究会の沿革、理念、最近の活動状況、将来構想等のプレゼンテーションがありました。企画会議と謳ってはいるものの、夫々の主要メンバーが一同に会した経験がなく、いかに所属会派の状況を参加者に伝えるかひた向きで熱っぽいプレゼンが提供されました。そのため持ち時間を大幅に超過し、共同セッション開催の『日時・場所・対象者』を決定する目標をクリアできませんでした。しかし各会派の設立理念や活動目標、ポリシーを初めて確認出来、時間を超過し無理やり中断となりましたが、共有・共感から協働への確信を手応えとして得、その空気が部屋中を包んでゆく様を感じることが出来ました。

RT1・虐待予防の取り組み

 今回のラウンドテーブルでは、行政機関以外の先生方と情報交換ができた点がよかったのですが、現状ではそれぞれに具体的なつながりがないことが非常に残念でした。ただ、DV家庭や虐待を受けている子ども達の現状をいろいろな形で、発信していきたいと考えていましたので、他の地域で頑張っておられる先生方と接し、勇気やパワーをいただけました。ありがとうございました。
川崎大志会の先生からは、「行政の縦つながりを横への繋がりへと広げていけるといいのではないかと考えている。また、市民ボランティアにも入ってもらえると打開策にもつながりやすいのではないか。」という意見を頂きました。ひとりひとりが複雑な問題を抱えているので、マンパワーが足りないのも現状かと思います。さらに、お母さんの年代によっても価値観が大きく異なっているというのも複雑化する原因かと感じます。それでも、しっかりした結果評価を出せば、市民の方々も認めてくれるのではないでしょうか?
 子どもの虐待に関する問題は、大人にとって本当に不都合な真実です。この真実に、たくさんの気持ちのある大人が目を向けて欲しいと感じている毎日です。現実は、なかなか前に進めないジレンマ(少ない職員で、最大の効果をあげたいトップと現場のずれを感じています。子どもの虐待予防や防止活動は、地味で人手も時間もかかります。効率的に、この解決は図れないのです。)を感じている時期だけに楽しい時間をすごせました。またいつか参加できる日を楽しみにしています。

RT6・ハイリスク児のサポート

 ハイリスク児のサポートを行うにあたっての私達の基本的スタンスは、住民参加ですすめ、ボトムアップ型の事業を展開していく事である。行政にとって我々との初めての試みを進めていくに当たり多くの戸惑いがあったようである。
 どのようにサポートをしているのかという興味と期待にテーブルに着かれた方々にとっては、タイトルとRTでの話題にはギャップもあったのではないだろうか。しかし、実際の現場で起こった問題点は、参加者にも共通の話題提供ができたと思う。保健師さんからは、行政と事業を行っていく上での心構えのような話や、実際の現場の話を詳しく聞く事ができた。歯科医師の先生からも、同じ立場での助言を頂いた。問題を抱えていたのは我々なのだが、逆にパワーをもらう事ができたというコメントも頂いた。何はともあれ、短い時間だったが有意義に過ごす事ができた。OPイン福岡 参加後の成果として、行政との会議では、今後の展開に少し弾みがでてきたことを付け加えて報告させて頂きます。

RT7・オープンプラットホーム

過去2回(福岡・川崎)のイベントでも同様なラウンドテーブルや協議が行われましたが、今回は歯科医師の他に、市民団体(福祉住環境コーディネーター)の方、ウェルビーイングとは異なるNPO法人(福岡すまいの会)に所属される方、歯科大学学生等、まさに他(多)職種なメンバーで行われました。
まずは、自己紹介から始まり、それぞれのルーティンの活動/これから進めていきたい活動や、悩みを共有した上でテーマを決めていきました。その中で出てきたのが「他組織との連携」についてでした。

専門家としてできることをするのは当たり前だが、どうしても活動が広がってくると自分達だけでは対応することができなくなってくる。そのときに、専門外のものをいくら自分達だけで熟考しても解決策はでてこない。そんなときこそ、自分達だけではできないところを他の専門家と連携していけばいい。イメージでいうと、「点」が「線」になる感じ。さらに他の広がりが生まれると「線」が「面」になり、「面」が「立体(空間)」になる可能性を秘めている。また、人々の「健康」を目指しているのであれば、どこかで必ず繋がれるはずだ。

今回のラウンドテーブルが参加者にとって、「人、団体、ものが自由に集まり、交流し、知恵や勇気、パワーを補充し、自分のフィールドに戻っていったり、別の地点へ旅立っていけるような、みんなが集える場」というオープンプラットホームの根底の部分を共有できる企画となったのであれば幸いです。

RT2:高齢者の臨床予防歯科について

 ウエルビーイングでは、「数年後ではない、10年後のウエルビーイングはどうあるべきか?」という“将来構想”をここ2~3年来考え続けて来た。
 その結果浮かび上がってきたのが、まだ具体的には手がつけられていない高齢者の臨床予防歯科の問題である。世間では「団塊の世代」に注目が集まっているが、これを単なるビジネスモデル(例:歯科医院来院者数の増加など)として捉えるのではなく、それ以降続いていく後期高齢者段階での健康→QOL→幸福への足がかりを作っていくステージとして考えられないか、との思いであった。

 この年代は、ほとんどの人がいくつかの健康問題を抱え、多少将来に不安を感じつつも、まだまだ元気な人たちであり、数十年前の同世代の方たちと比較しても外見・内面ともに若々しさを保っている。
 その元気と若さをなるべく長期に保ったまま、あるいは寿命が尽きるまでのQOLを高く維持したままで過ごしていくにはどうすればいいのか?を知る一つの材料を得たいとの狙いは、まだ今回は達成されたとは言えないが、しばらく文献調査とゼミでの議論を併行して進めていきたいと考えている。

RT8・『つまようじ法を用いた歯周病の健康管理』

予防歯科のセミプロからプロの人びとが集うと言うことで、「予防歯科の立場から・・・」という少し大げさなタイトルで、多くのご批判やご助言を期待し出かけましたが、時間が短かったこともあり、少し端折ってしまい、専用歯ブラシの営業マンが来たような印象を与えてしまいました。

私たちの意図するところは、
1 「術者磨き」は治療中心、医療者中心の今までの歯周治療とは全く別の考え方であり、ヘルスプロモーションと相性がよいこと。
2 「つまようじ法」はどのブラッシング法よりも、多くの基礎研究により科学的な根拠が明らかにされていること。
3 そのため、これからの歯周病予防や治療に多いに活用できる可能性があること。
などにあります。

 つまようじ法を用いた術者磨きによる歯周治療に関しましては、基礎研究はともかくとして、社会応用のための研究はこれからになるのではないかと考えています。和歌山市 小畑歯科医院  小畑 文也

2007年04月11日

RT4ホームレス支援

ホームレス支援ラウンドテーブルでは・・・

 今回の発表ではこちら側の現状を発表する事がメインでしたが、今後も力強くやっていかないといけないと感じる助言がありました。
この中で、歯科医師会は行政と折衝をする役目を持っている以上、歯科医師会にはもっと関わりを持って頂く事が必要であると感じられました。
 ホームレス者といっても何も特別な人ではなく世の中の人(患者さん)であります。そして世の中の患者さんは大きく四つのパターンに分かれます。
1. 金は持っていて、言っている事を理解して聞いてくれる
2. 金は持っているけど、言っている事を聞き入れてくれない
3. 金は持ってないけど、言っている事を理解して聞いてくれる
4. 金は持ってないし、言っている事も聞き入れてくれない
1.の患者さんは歯科医にとってはやりやすいでしょう。
3.の患者さんはどうにかして治してあげたいとつい一生懸命になってしまいます。
 保険治療ですべてが満足にカバー出来ない歯科治療では、3.や4.のパターンの患者さんで治療が困難であったりします。
ホームレスの人はこの3や4に当てはまるだけの事ではないでしょうか?
彼らの問題に取り組むのは世の中の人々の問題に取り組むのとなんら変わりはないと思います。
特に4.の方々のヘルスプロモーションが出来たら無敵の歯科医となる事でしょう。
 また、個人的には発表をした事によって、自分が知らなくても相手が私を認識して頂き、交流会などでも声を掛けて頂いた事が今後の励みにもなりました。
(福岡市 寺田歯科医院  寺田 壮平)

発表者:寺田、安達
 記録:星岡
参加者:中村(清)、近藤、牧田、西本