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2006年8月10日

ヘルスプロモーターへの道0:私たちのスタンス

こんにちは。いわいです。
今回は、NPO法人ウェルビーイングのスタンスについて書いてみたいと思います。

NPO法人ウェルビーイングが地域を支援するときに大切にしているスタンスが4つあります。

住民参加
 :グループワークを通して暮らしの当事者である住民と一緒に話し合い、計画を作り、実施、評価していくこと
生活モデルを重視
 :医学モデルではなく、人々の生活する環境や日々の暮らしに着目する。
エンパワーメント
 :話し合いや活動を通じて、住民、地域の力を引き出し、元気にしていく。

そして、もうひとつが、
OJT(On the Job Training)です。

ヘルスプロモーション、住民参加の活動は、いくら本を読んでも実際にやるとなるととても難しいです。しかし、「難しいから・・」「よくわからないから・・」と何もしないままでは、人々や地域は変わりません。NPO法人ウェルビーイングでは、ヘルスプロモーションに取り組みたいけど、なかなかできないという市町村の支援を行っています。そして、住民参加のプロセスや場を一緒に共有しながら、住民・行政スタッフの力量形成を支援しながら、スタッフや住民が自分たちで活動できるように少しずつバトンを渡していっています。

私の上司がいうには、「水戸黄門」ではなく、「7人の侍」というスタンスです。

「水戸黄門」は、地域での問題が発生したときに、水戸黄門を始め助さん角さんなどの専門家集団が活躍し、最後には印籠を取り出し、地域の平和を取り戻します。しかし、水戸黄門が去った後は、どうなるのでしょう?地域の人たちは問題解決する力を身につけておらず、また同じ問題が発生したときには、水戸黄門が戻ってこない限りは解決できません。これは、地域での活動で言えば、「コンサルに丸投げして、立派な計画書はできた。しかし、また作るときはコンサルにお願いしないと作り方がわからない」という感じかな?と思います。

一方、「7人の侍」は、野武士たちをやっつけるために7人の侍だけでなく、そこに住む農民たちと一緒に考え、活動をすることを通して、農民たちに力をつけていきます。最後に野武士を撃退するのですが、侍たちは「勝ったのは俺たちではなく農民たちだ」と行って村を去っていきます。農民たちは誰一人、侍を引き留めることなく、畑仕事に精を出しています。しっかりと自分たちで村のことを考え、守る力を身につけた証拠だなと感じるシーンです。

私たちは、地域の行政スタッフ・住民が力をつけ、私たちの支援を必要としないまちが増えたらいいなと思い日々お仕事をしています。
皆さんはどんなスタンスで仕事をしていますか?

2006年8月 8日

ヘルスプロモーターへの道5:気になるアリストテレス

こんにちは。いわいです。
今回はいつもとは趣向を変えて本の紹介です。
今回紹介するのは、
「気になるアリストテレス」というタイトルの通り、
アリストテレスの著書を読むための手引き書です。

地域保健ブログの中で、一度
健康ってなんだろうという記事を書きましたが、
その中に、Eudaimonistic Model(幸福モデル)というのがあったのを覚えていますか?

健康づくり、ヘルスプロモーションに取り組んでいると、人々の健康、幸せって何だろう?という思いが自然と湧いてきます。そこで少しずつ調べていくことにしました。

すると、幸福って言うのを最初に使ったのはどうもアリストテレスらしいということがわかってきました。アリストテレスの使った言葉は、eudaimoniaであり、意味は「よく生きていること、よくやっていること」(雨宮健訳)です。
この語は、ニコマコス倫理学という著書ででてきます。訳書を読んでみましたが、わかるようなわからないような・・・頭がパニックになるとても難解な本です。そのため、アリストテレスは気になるが、理解できない日々が続いていました。

そんなとき、上司の譲治先生が、J.O.アームソンの「アリストテレス倫理学入門」を見つけてきてくれました。
私もこの本を昨日から読み始めましたが、「アリストテレスを読むための手引き」であり、とってもわかりやすい本です。アリストテレスの考えは、質的研究にも通じる部分があり、とても興味深いことが少しわかってきました。

皆さんもお時間のあるときに読んでみてはいかがでしょうか?

2006年8月 1日

ヘルスプロモータへの道4:記録をとるときのポイント

こんにちは。いわいです。
今回は、「記録をとるときのポイント」です。
会議や様々な場面で話されたことは記録しない限りは残らないため、
記録として残すことがとても大事になります。
しかし、いろいろな地域でスタッフの方に記録を録ってもらいますが、
記録をとることは、意外と難しいようです。

先日も下関市の保健師さんたちに、
記録について話を聞いてみましたが、
「どこにポイントを絞っていいのかわからなく難しい」とおしゃってました。
そして、その後演習として「下関さんと豊浦さんの会話」を記録を録ってもらったのですが、
「時系列で記録」「ポイントのみを記録」「会話形式で記録」など
同じ内容の記録を録るのにもいろいろなパターンがあることがわかりました。

話のポイントを絞り、見やすい記録を作るにはどうしたら良いのでしょうか?

私が普段目指している点は、「読む人の気持ちを考えた記録」です。
「ぱっと見やすい資料っていうのはどういった資料だろう?」と思いながら、
記録を作成しています。

具体的には・・・
・記録に徹すること(話を聞き漏らさない)
・話が前後に飛んでいても、同じ話題の話は一カ所にまとめる
・話の経過よりも結論が大事な場合は、結論のみ記載する
・誰が何を話したのかの記録が大事な場合は、話した人の名前を入れる
・「である」調ですっきりした文体にする
・レクチャーの記録は、「ヘルスプロモーション」「健康日本21」など項目ごとに見出しをつける
・見出しは、太文字、下線、<>をつける
・ダラダラ羅列しないで、箇条書きにしたり、見出しに番号をつける
・パワーポイントの説明部分は、パワーポイントの図を挿入する

また、ファイルの保存方法としては、
・「060303第1回策定委員会」(日付・会議名)の名称で統一する。
・ヘッダーにも、「060303第1回策定委員会」など会議名を入れる。
・ページ数を入れる
・フォントは、基本的に明朝体。見出しは、ゴシックまたは下線or太字。

とフォーマットを決めています。

いつも同じ形式だと書類の整理もしやすく、読む方にとっても親切です。

最後に、記録を録るのの極意をひとつ。
ずばり、「記録を録るのが嫌いなこと!」です。
私自身は記録を録るのは得意なのですが、実は大嫌いな仕事です。
「せっかく記録したものは見てもらいけど、時間をかけてやりたくない!」
という一心で、会議の場面で記録を完璧に仕上げるための方法を工夫してきました。
「好きこそものの上手なれ」とはいうものの、
「嫌いこそものの上手なれ」ということもあるようです。